ラブライブ!サンシャイン!!TVアニメ2期雑感

明けましておめでとうございます。

新年1発目からこんな記事でいいのか分かりませんが、とりあえず先日最終回が放送されたラブライブ!サンシャイン!!TVアニメ2期を振り返っていきたいと。

 

ではまずあらすじから。

初めて出場したラブライブ!は地区予選で敗退となり、迎えた2学期。冬の大会に向け気持ちを新たにするAqoursだったが、そこに学校説明会の中止という話が。それは実質的に廃校決定ということでもあったが、それでも諦めたくない、足掻きたいとAqoursはひとつになる。

 

あれ、これ全話書いてたらとんでもない長さになるな……。まぁ1話はこんな感じ。YouTubeで見られるからみんな見てね。

 

さて、わりかし重いスタートだったわけです。だいたいずっと重かったように思いますね。廃校問題を引っ張りすぎたというのが原因なんでしょう。

廃校問題が終息するのは7話ですが、7話までは(一部を除いて)だいたい重苦しい雰囲気が取り巻いていて、細かいことを言えば脚本や演出も「えぇ……」と声に出るようなものだったと思ってます。

せっかくMIRACLE WAVEという底抜けに明るい曲が6話のラストで披露されるのに、それも7話になったら廃校が決まって「ラブライブ!なんてどうでもよくなってる」で台無しなんですよ。いや、MIRACLE WAVEをやったからこその決勝進出なのはわかるんですけど、そこと廃校を結びつけるなと。

ラブライブ!優勝=廃校阻止じゃねえから。もっと言えばラブライブ!優勝=廃校阻止=輝き発見じゃねえから!!

敢えて口が悪いように言いますけど、決勝に進出したのに自分たちの感情だけで決勝の舞台を辞退するのは、言うなれば蹴落としてきた数多のライバルに失礼なことをしていると思いますね。もっといえばトップ通過したわけですから、同じ決勝進出の2位・3位のグループにも失礼ですよね。バカチカだよ本当にお前は!!

しかもその鬱状態から立ち直るきっかけはモブたちの一言という。個人的にはここが本当に酷かったと思います。地団駄を踏む千歌は動きとしては可愛かったですけど、そもそもラブライブ!なんてどうでもいいとか思わずに、せっかく『空も心も晴れるから』を流したんですから、答えは自分たちで出してほしかった。

面白いことしたくなったと

君に伝えなくちゃ 家に帰ったら

なんでしょ!?もう失うものなんてないんだからひっかき回して、回して回して優勝しちまえばいいじゃん。面白いこと考えてくれよ。なんで一寸先は闇状態になってんだよ。

 

……まぁそんな感じでもうね、とにかく7話だけでもツッコみきれないぐらいクソポイントが詰まってます。

逆に廃校問題から脱却した8話以降は面白くなりましたかね。

 

やっぱりそこから見えてくるのは「テーマは一本化しないと散らかる」ってことなんじゃないかと思います。廃校問題とラブライブ!出場、それだけでなくAqoursの輝きを見付けるという三本柱でしたが、ちょっと多すぎた印象。

1話で廃校は決定的な状態だったんだから、入学希望者を98人まで増やせただけすごいじゃないですか。もうなんだったらその98人無試験で合格でもいいぐらいですよ。

良くも悪くも、僕はこういうアニメを好んで見る人は深く考察したりキャラの心情を読み解いたりするのが好きな人だと思ってまして(自分もそういうタイプなので)、そういう意味でも雑に描かれている――言い替えるなら必要な描写が不足していたり要らない描写が多くなったりしているのはいかがなものかと感じましたね。

 

……悪いところばかり話していても面白くないので、良かったところもピックアップしていきたいと思います。

 

まずはキャラの掘り下げです。2期では2話・4話・5話・8〜9話・10話がキャラ回だったと認識していますが(間違ってないよね?)、そこまでトチ狂った感じもなく概ね良かったと思います。強いて言えば5話の犬奪還未遂ぐらいでしょうか、崩壊しかかってたのは。あぁ、あとは6話以降の梨子の急激なリトルデーモン化か。

曜ちゃんの個人回が無かったのは1期10話11話でやったからなのかは知りませんが、曜ちゃん推しとしてはちょっと残念ではありました。それでも11話以降はなかなか輝いてたと思います。

続いて先程も触れた8話以降の流れ。ツッコみどころが無いわけではないですが、描きたいものは伝わりますし、話の大筋としては粗がそんなに無く、特に11話以降は素晴らしかった。曲補正も大いにありますが。

そして作画。ほとんど崩れなかったのはすごいと思います。一部ミスっぽいのもあったり、しれっとEDのバス内部の絵が修正されていたりしたみたいですが、ライブパート含め素晴らしかったです。

 

そして、ラブライブ!の物語と切っても切れない関係なのが楽曲です。

劇中で流れた曲は一瞬で終わってしまったSaint Snowの2曲を除いて

  • 『MY☆舞 TONIGHT』(3話)
  • 君のこころは輝いてるかい?』(3話)
  • 『MIRACLE WAVE』(6話)
  • 『空も心も晴れるから』(7話)
  • 『Awaken the power』(9話)
  • 『WATER BLUE NEW WORLD』(12話)
  • 青空Jumping Heart』(13話)
  • 『WONDERFUL STORIES』(13話)

の8曲。これにOP・EDを加えると10曲ですね。

クオリティがすげえ。の一言。特に新曲。

『君ここ』『空心』『青ジャン』は既存曲ですが、選曲も流すタイミングも良かったな、と思います。

ラブライブ!でも1期8話で『僕らのLIVE 君とのLIFE』が流れたりしたように、1stシングルはどこかで来るだろうと思ってましたが、あの流れで来るとは思ってませんでした。

賛否両論ある3話でしたが、個人的には結構好きなんですよ。ラブライブ!っぽさがあるというか、「勢いで解決したれ!!」という熱量があるというか。


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まんまこれ。というかラブライブ!のアニメって全体的にずっとこれじゃねえか。

空心は曲の良さで「沁みるなあ…」というわけではなく、「なんだこの展開は!?」と煮えくり返る視聴者のはらわたを鎮める役割があったような印象。それはそれでいいんです。前後の展開が歌詞と合ってないだけなんです。メンバーが一人ひとり物思いに耽るシーンはとても良かったですね。

そして誰もが予想したであろう青ジャン。自然すぎて一瞬青ジャンだったことに気付きませんでした。優勝したかしてないかを引っ張るために13話冒頭に持ってきたんでしょうが、それで良かったと思います。12話でやってたらまんま二番煎じでしたしね。

 

そして新曲ですが……。語ることが多すぎて記事がどえらい長さになりそうです。でも別記事にするとまた分かりづらくなりそうなんで、書いちゃいます。

まず『MY☆舞 TONIGHT』です。これは曲そのものより、この曲が出来た背景に注目したいですね。

見た方ならおわかりのとおり、この曲は2話のお寺で出来たものです。趣味の違いなどで曲作りに行き詰まった1年・3年チームが、雨漏りというアクシデントを経てひとつになる。そして出来たのがこれ。

雨。ラブライブ!ラブライブ!サンシャイン!!含め幾度となく降っていた雨。よくないことが起こる前触れとして物語では多用されます。

例えば、無印では雨の中強行したライブで、『No brand girls』のパフォーマンス後に穂乃果が倒れました。2期1話でも雨が降っていました。さらに言えば劇場版でもニューヨークで雨に降られていました。

サンシャインでは1期3話が印象的でしょうか。他に、この後の話になりますが2期10話でも雨でした。

そして3話よろしく雨の後には虹がかかるように、雨というのは悪いことの前触れであると同時に、さらにその先の吉兆を暗示するものでもあります。

それが如実に出ていたのがこの2話だと思っています。本当によく出来てるなぁと思いましたね。

 

お次は『MIRACLE WAVE』ですが、これについては特に話すことがないんですよね。ライブでみんなマジで怪我しないように頑張ってほしいというのと、家虎だけは絶対に入れるなということだけは言っておきたい。

 

そして『Awaken the power』。これはですねぇ、よくやってくれたな、と。

日本語に訳すと目覚めるパワー。ポケモンのまんまそれですが、よくぞ、よくぞライバルグループとユニゾンしてくれたという印象です。

これについて話しておきたいのは、この9話放送後、まさかまさかの「A-RISE」がTwitterでトレンド入りしたということです。

無印では成らなかったライバルグループとの融合。μ'sがやらなかったこと、できなかったことを積極的にやっているのがAqoursでありラブライブ!サンシャイン!!なのですが、おそらく「μ'sとA-RISEで一つの曲をやってほしかった」という思いがトレンド入りまで導いたんでしょう。『SUNNY DAY SONG』?そんなのもあったね。

このトレンド入りに対し、なんと統堂英玲奈を演じた松永真穂さんが反応してくれたんですよ。「またやりたい」と言ってくれたんですねぇ。ありがたい話です。

そもそも松永さんは声優を引退したわけではないと仰っていました。ぜひこれを機にスクスタへのご出演のほど……よければ新曲なんてのもですね……。

そんなわけで、制作陣の意図しない(まぁ十中八九してないでしょう)所で期待感にあふれる話題が生まれたわけですよ。見えない力ですよ。目覚めるパワーですよ。

なんか上手いこと言った風になってて若干寒いので次。

 

次は『WATER BLUE NEW WORLD』。長いので新世界とでも略しましょうか。

もうこれはね……初めて聞いたときから鳥肌がヤバかったです。間違いなくTVアニメラブライブ!サンシャイン!!の集大成です。

前の記事でも触れましたが、アニメのサンシャイン!!において、大切な場面で流れる曲には必ず「未来」というワードが使われています。

なんだかね、物語の進行に合わせて未来を変えたくなって、変わり始めて、夢に気づいて、捕まえようとして。1期終盤からは具体的に自分がヒカリになって未来を明るく照らしたくなったり、本気をぶつけ合って未来を手に入れようとしたり。

姿勢が変わってきているというか、それが垣間見えるのがとてもグッと来るんですよね。

前の記事ではこんなことを書いたのですが、ちょっと訂正。新世界を聞いて気付いたのは、彼女たちの姿勢は別に変わってなかったってことなんです。

初めからずーっと、「今この時を全力で駆け抜ければ未来を変えることができるかもしれない」と信じていたんです。

結果として見れば、廃校という未来を変えることは出来なかった。それでも、ラブライブ!という舞台でより良い結果を残すために、浦の星女学院という名前を残すために、彼女たちは今までずっと保ってきたスタンスを変えることなく決勝の舞台で新世界を歌い切ったんです。

その結果、ラブライブ!で優勝できた。これ以上のことは無いでしょう。あってたまるかって話ですよ。劇場版の話どうすんだよこいつらやり残したことねえぞもう。

まぁ劇場版のことは置いといて、もう一つ新世界では重要なセンテンスがありました。

ずっとここにいたいと思ってるけど

きっと旅立ってくってわかってるんだよ

だからこの時を楽しくしたい

最高のときめきを 胸に焼き付けたいから

浦の星の「廃校」、そして3年生の「卒業」。2つの意味で、浦の星女学院スクールアイドルAqoursがラブライブ!決勝に出るのは最初で最後。だからこそこの瞬間を楽しく全力で、そして最高のときめきを、自分たちの輝きを見付けたい。そういう意味が込められているのではないかと勝手に思っています。

そしてその直後に青ジャンで「はじまった時のときめきずっとだいじにね」と歌っているんだからもうね、やばいですよ。ずっとときめいてるんですよこの子たちは。

この後にも話しますが初めからずーーーーっと彼女たちは輝いていたんです。それがこの部分から見えてくることだと僕は思います。

余談ですが、12話では1期1話の千歌と曜の東京旅行のシーンと同じ場所に立ち寄ります。こういうの、いいですよね。ジーンと来ました。二人とも申し合わせたわけでもないのに同じ場所に集まるってのがまた……。

※1/5追記

よく考えたら、この曲はもっと他の曲とも繋がる部分がありますね。

まずは『ダイスキだったらダイジョウブ!』の「キラリ! ときめきが生まれたんだと(以下略)」。これもAqours始まりの曲でした。やっぱりずっと輝いてるじゃないか(感涙)

そして忘れちゃいけない曲を忘れてました。『MIRAI TICKET』です。1期最終回、ラブライブ!東海地区予選にて歌われた曲です。僕はこの曲を紛れもない神曲と認定しているんですが、この曲にもこんなフレーズがありました。

あこがれ抱きしめて 次へ進むんだ

僕たちだけの新世界が(きっとある)

We say "ヨーソロー!!"

船が往くよ ミライへ旅立とう

青い空笑ってる(なにがしたい?)

ヒカリになろう ミライを照らしたい

輝きは心からあふれ出して

もっと先の景色望むんだ

新世界……。リンクしますね。もっと先の景色というのはラブライブ!決勝の舞台であり、輝きを掴んだ未来であり、この時点では廃校を阻止した未来なんでしょうかね。『WATER BLUE NEW WORLD』という曲の存在で解釈が広がりました。

なんでこの曲で決勝に進めないんだと未だに思います。あんな趣向を凝らしたパフォーマンスだったじゃないですか。いや、確かに奇行もあり、犬も連れ込んでましたけど……。

ミラチケはダメでミラウェがダントツの1位ってのが納得行きませんよね、個人的には。まぁそれはそれか……。 

 

はい。ということで残りは『WONDERFUL STORIES』を残すのみとなりました。長いのでワンストと略します。これもね、昨日気づいたことがありまして。この曲は先程までの曲とは一線を画すものになっています。

ではまずこの画像をご覧ください。


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両方とも新世界のライブ映像(?)です。1枚目は我らがヨーソローちゃん渾身のウィンクですね。2枚目はサビ直前のみんなが集まるシーンです。

両者の違い、分かりますでしょうか?簡単に言えば、メンバーがカメラ目線かどうか、です。

1枚目は新世界のサビ後半、一人ひとりが抜き出されてそれぞれウィンクしていく流れです。みんなカメラに抜かれていると認識しているのでカメラ目線なのはある種当たり前。

そして2枚目は誰もカメラを見ていません。これも当たり前といえば当たり前なんですが、これは決勝の舞台。本来ならステージからは浦の星の生徒やSaint Snowはじめ、多くのお客さんが見える状態です。だから基本的にはAqoursのメンバーはカメラなんて見ていないんですよ。観客に向けて歌っているわけです。

一方でワンストはどうか。


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みんなこっち見てるんですよね。もちろん見ていない部分もあります。ラスサビの一人ひとり映っていくところとかがそうです。

でも3枚目の千歌、これは『想いよひとつになれ』の衣装ですが、カメラの動きに合わせて千歌はわざわざ後ろを振り返るんです。この部分、千歌はずっとカメラ目線。

これでわかるように、ワンストでは他の曲と比べると圧倒的にカメラを意識しています。

実はこれ、『決めたよHand in Hand』でも同様の手法が取られています。みんなかなりの割合でカメラ目線なんですね。

 

これだけではありません。この曲の特徴的な場面はまだあります。

まず一つめは、過去のライブパートの再現です。すごい演出ですよね。「おおおっ!?」と思ってしまいました。気合い入りすぎだろと。

そしてもう一つ、曲が終わったあとの幕が下りるシーン。ラブライブ!ってやっぱりミュージカルだなと思わされました。多分劇場版はこの下りた幕がまた開くところから始まると思います。予言しとく。

この曲、というか映像は、明らかに「アニメを見ている視聴者」に向けて作られているんです。多分そう。多分、というか間違いないと僕は思います。

じゃあなぜこんな演出にしたのか。それは「ラブライブ!サンシャイン!!という物語の『物語(≒フィクション)らしさ』を強調するため」であり、「最後まで見てくれた視聴者への感謝の気持ち」なんじゃないかと思っています。

もしかしたら『ススメ→トゥモロウ』や『Happy Maker!』でも同じかもしれませんね。そこまでチェックしてはいませんが……。

この演出に気付いたときはため息が出ました。なんだこれは、すごいぞこれは……と。多分このことを知った上でアニメを一から見直したら違う感想になるんじゃないかと今からワクワクしてます。今週のワクワクが決まりそう。

 

とまぁ、楽曲はまさに粒揃い、本当に作品を盛り上げるにふさわしいものばかりだったなと思います。

 

そして、物語の核であった「Aqoursの輝き」とはなんだったのか。これについても、ワンストの映像の中で千歌が答えを出しています。

分かった。

私が探していた輝き――私たちの輝き。

足掻いて足掻いて足掻きまくって、やっと分かった!

最初からあったんだ。

初めて見たあの時から。

何もかも、一歩一歩。

私たちが過ごした時間のすべてが、それが輝きだったんだ!

探していた私たちの輝きだったんだ!!

そして

青い鳥(探してた) 見つけたんだ(でも)

カゴにはね(入れないで) 自由に飛ばそう

と続きます。

メーテルリンクの『青い鳥』ですね。

もうこれは、これ以上の答えは無いというぐらい完璧な、100点満点の答えだと思います。綺麗すぎるぐらい綺麗です。

ここまでちゃんとした答えを提示しておいて、本当に劇場版で何をやるんでしょうね?全く見当がつきません。そういう意味では非常に楽しみですね。いつ頃公開かもまだ明らかになってはいませんが、まだ動くAqoursが見られると思うと嬉しいです。

 

長々と語ってきましたが、特に12話13話が本当にすごく良くてですね、「終わり良ければすべて良し」とはこのことなんだなと感じました。

1期最終回はボロクソに叩かれてましたけども、あれも1期最終回ではなく、「ラブライブ!サンシャイン!!TVアニメ13/26話」という見方をするとまた違った印象になるんじゃないかと、今となっては思います。

個人的にはまだまだ掘り下げてほしい部分や日常の一コマなど、見てみたい物語はたくさんあって、これから先もそんなものが供給されたら嬉しいなと思ったりしてるんですけど、まぁ期待できるとしたらスクフェスやスクスタぐらいですよねぇ。

とにかく、終わるのが惜しいというか、そう思えるだけの作品だったと思います。キャスト・スタッフの皆さん、大変お疲れ様でした。また劇場版で楽しいストーリーを見せてください。期待しています。

ということでお別れです。ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。


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